最後の秘境 東京藝大:天才達のカオスな日常 を読んでみた
最近、amazonのオススメに出てきた本をジャケ買いならぬ表紙買いするのが趣味となっている。
本書は、藝大がどういうところなのか以前から興味があったので、なんとなく購入した。
本書は、東京藝大出身の妻を持つ著者が、実際に東京藝大に潜入し、妻や妻の同級生などに取材をして書いた探検記である。東京藝大は、入るのが非常に難しい大学として知られており、その難易度は芸術界の東大と呼ばれるほど。技術が高いのは当たり前で、それを踏まえた上で「光るものを持っている学生」でないと入学できないらしい。そういった影響からか、学内には変わり者が多く、中にはブラジャーを仮面のように顔につけ、上半身はトップレスのブラジャーウーマンと呼ばれる女子学生もいるらしい。面白すぎる。
また、東京藝大は音楽学部(音校)と美術学部(美校)の両方を併設しているが、音校と美校の人は明らかに生態が異なり、服装を見ただけでもすぐわかるという。具体的には、音校の学生は清楚で爽やかな印象の学生が多いのに対し、美校の学生は奇抜な格好か外見に無頓着の両極端らしい。服装だけではなく性格もかなり違うらしく、著者はオペラとゴリラの境界線と表現していた。
それから、音校と美校の中でも学科がかなり細かく分かれていて、同じ学科の同級生が2,3人しかいないということもザラにあるという。田中久重に憧れて絡繰人形を作り続ける学生、口笛をオーケストラに取り入れようと試行錯誤している学生など、個々の学科の学生達の話も非常に興味深かった。これだけ色々なジャンルの天才達が切磋琢磨しあう様子は、他の大学では中々見られないのではないだろうか。
本書の後半には、東京藝大の文化祭(藝祭)に関する記述もあった。コロナが終息した際にはぜひ東京藝大の藝祭に足を運んでみたい。